免疫療法とは、病気の原因となるもの(アレルゲン)を少ない量からゆっくり増やして体内にいれて治そうとする方法です。例えば、スギ花粉症の場合には、体に安全な低量の医療用のスギ花粉抽出物を体内に入れ、安全性と反応を見ながらゆっくりと量を増やして、体質を徐々に変えていく治療です。現状では唯一の花粉症を治し得る治療法とされています。
期待できる効果
- くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目の症状の改善
- アレルギー治療薬の減量
副作用
- 口の中の腫れ、かゆみ、不快感
- のどの刺激感、不快感
- 耳のかゆみ
- アナフィラキシー(全身の強いアレルギー症状):非常にまれですが重大な副作用です。日本で舌下免疫療法を行った患者さんで死亡した症例は報告されていませんが放置すると非常に危険です。緊急の対応が必要になります。
よくある質問(FAQ)
舌下免疫療法の有効率はどのくらい?
免疫療法は現状では唯一の花粉症を治し得る治療法とされていますが全員には効きません。おおよそですが、治療を行った方の20%で花粉症が治癒し、30%以上でかなり楽になり花粉症薬の薬が激減した、20~30%で症状はあるが以前より楽と答えられます。残念ながら20%では治療効果がありません。
舌下免疫療法はいつでもできる?
安全に治療を行なうために、スギ花粉の飛散する前後に舌下免疫療法を開始できません。治療開始は6月から11月中旬がよいとされています。
舌下免疫療法を行なっていても、花粉症のシーズンに症状が出たら適切にお薬を使ってください。舌下免疫療法の考えは、併用薬の量を少なくして、症状を軽減する治療です。全ての方が薬を飲まなくてすむ治療ではありません。花粉飛散が非常に多い時には症状も出やすくなるため、我慢せずに適切な薬の併用を推奨します。
ただし、ステロイド内服は特別な事情がない限り使用しません。ステロイドの点眼や局所ステロイドスプレーは全身に作用しませんので、舌下免疫療法と併用可能です。
舌下免疫療法の治療期間はどのくらい?
舌下免疫療法は、始めたら数日で効果の出るような治療ではありません。長期間の治療が必要です。長い期間かけて少しずつ良くする治療で即効性はありません。2年ほど舌下免疫療法を行い、そこである程度効果のある方には合計3~5年間の治療を勧めています。
スギ花粉の舌下免疫療法とダニの舌下免疫療法との併用はできる?
両方を同時に開始するのは勧められていません。まずは片方から治療します。片方の治療が安定すれば、他方も追加できる場合もあります。
3~5年毎日欠かさず服薬と必ず毎月1回(最初のうちは1~2週間に1回)の通院が必要です。